ハウスダストアレルギー

ハウスダストアレルギー

一人遊びをしている子ども室内の目に見えないほど小さいゴミやホコリがハウスダストです。ダニの死骸や糞、人間の皮膚のフケや垢、動物の毛やフケ、カビの胞子、細菌、食べ物の微細なカス、花粉、線維の切れ端など、ハウスダストにはアレルギー反応を起こすアレルゲンとなるものがたくさん含まれています。
ハウスダストが原因となってアレルギー反応を起こすハウスダストアレルギーの主な症状には、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ、皮膚のかゆみ、咳などがあり、室内の密閉性が高い冬に症状を起こしやすいため、風邪を繰り返していると誤解されていることもあります。また、細かい卵の食べカスがハウスダストとなって乳幼児が卵アレルギーを発症してしまうケースなど、乳幼児はハウスダストが食物アレルギーのきっかけになってしまう場合もあります。
アレルゲンを特定し、原因物質をできるだけ除去することが重要ですが、完全に取り除くことはできないため、効果的なポイントをしっかり抑えた対策を行うことが重要です。当院では、症状やお子様の状態などにきめ細かく合わせた内服薬、点鼻薬、点眼薬、塗り薬などの処方を行っています。

日常生活で気をつけること

アレルゲンとの接触を避けるために、下記のことを心がけてください。

こまめな掃除・洗濯

こまめに掃除を行い、長時間過ごす寝室は特にしっかり掃除をしましょう。ダニやカビの繁殖しやすい布製品をできるだけ部屋に置かないことも重要です。カーペットやカーテンをフローリングやブラインドにして、タオルやマットなどはこまめに洗濯してください。

防ダニ対策

ダニは熱に弱く、50℃以上で死滅するとされているため、布団は天日干しや布団乾燥器を使ってダニを退治しましょう。また、干した後、乾燥後の布団は掃除機をかけてダニの死骸や糞を吸い取ってください。

室温と湿度のコントロール

ダニやカビは高温多湿を好みます。室内は20℃以下、湿度40~50%を目安にしてください。過度に乾燥させてしまうとのどや肌によくないため、湿度40%以下にならないようにしましょう。なお、クローゼット・押し入れ・タンス・靴箱は湿気がこもりやすいため、定期的に扉を大きくあけて風を通しましょう。

ペットのケア

犬や猫のアレルギーがなくても、ペットの毛やフケなどがダニのエサになって繁殖につながってしまうため、シャンプーやブラッシングをこまめに行いましょう。

空気清浄機の設置

空気清浄機はハウスダストを減らす効果があります。ただし、空気清浄機自体の手入れをしっかり行うことも重要です。加湿機能がある場合は湿度管理もできますが、手入れをしないとカビの胞子をばらまいてしまうこともあります。新しいものを選ぶ際には手入れのしやすさもチェックしましょう。

ダニアレルギー(舌下免疫療法)

ダニが発生しやすい時期

掃除室内のダニが最も発生しやすいのは、6~8月の室温や室内の湿度が高くなる梅雨から夏にかけての時期です。特に繁殖しやすいのは布団、カーペット、枕などで、温度と湿度に加えて垢やフケなどダニにとってのエサが豊富な環境が整っています。天日干しや布団乾燥器などでしっかり乾燥させ、掃除機をかけてダニを増やさないようにしましょう。

ダニアレルギーの症状

ダニによるアレルギーは年間を通じて症状を起こします。ダニアレルギーがあると、細かく砕かれたダニの死骸の微細な破片が鼻腔やのど、眼に入ってアレルギー症状を起こします。

  • 鼻水
  • 鼻づまり
  • くしゃみ
  • 鼻のかゆみ
  • 目のかゆみ
  • 充血
  • 皮膚やのどのかゆみ
  • 咳・痰
  • 喘鳴(ヒューヒューゼイゼイという呼吸音)

など

舌下免疫療法による治療

眼をこする大人舌下免疫療法は、ダニ(ハウスダスト)アレルギーと、スギ花粉症を対象に行われる保険適用の治療法です。
アレルギーの原因物質を少しずつ摂取することで体を慣れさせていき、時間をかけてアレルギー症状の緩和や抗アレルギー薬などの減薬につながる効果が期待でき、根治を望めることもあります。ただし、治療を続けても効果を得られないケースもあり、3~5年の治療を続けて十分な効果を得られるのは8割程度とされています。

舌下免疫療法

ダニアレルギーに対してダニ抗原舌下免疫療法が健康保険適用で受けられます。錠剤を舌の下に1分間置いておき、その後飲み込む治療を毎日続け、3~5年続けることで効果が期待できます。服用後の5分間はうがいや飲食を控える必要があります。こうした投与が可能であれば、5歳からダニアレルギーに対する舌下免疫療法の治療が可能です。ダニアレルギーの舌下免疫療法の薬には、アシテア(塩野義製薬)を使用しております。ダニを原材料につくられたエキス剤で、毎日の舌下服薬を3~5年続けることでアレルギー反応が起きにくくなって、症状の改善、アレルギー治療薬の減量といった効果が期待できます。

アシテア(塩野義製薬)

最初の3日間は100単位(IR)1~2錠・300単位(IR)1錠と増量しながら服用し、その後は300単位(IR)1錠を毎日服用します。錠剤を舌下で保持する時間は2分程度です。

舌下免疫療法に関するよくある質問

舌下免疫療法を受けるために条件はありますか?

受診してアレルギー性鼻炎の診断がつき、血液を採取して実際にスギ花粉やダニのアレルギーがあるかどうかを確認できたら、舌下免疫療法が可能になります。当院では30分で結果がわかるアレルギー迅速検査を行っています。この検査は指先からごく少量の血液を採取するだけで可能ですので、幼いお子様でも受けることができます。

舌下免疫療法を受けられないケースはありますか?

以前受けた舌下免疫療法でアナフィラキシーショックを起こしたことがある方、重症の気管支喘息でコントロールできていない方、妊娠中・授乳中の方、治療期間(3~5年)に妊娠する予定がある方、重い心臓疾患があって服薬中の方、免疫疾患やがんなどがある方は舌下免疫療法を受けることができません。
また、治療前に注意が必要なケースとして、口内に傷や炎症がある方、ステロイドやベータ遮断薬などを内服している方、65歳以上の方、以前受けた舌下免疫療法でアレルギー反応を起こした方などは医師と事前に相談する必要があります。

何歳から受けられますか?

5歳から受けられるようになっています。ただし、舌下に薬を置いてしばらく保持した後に飲み込めることが治療開始の条件になります。また、毎日の投与を長期間続ける必要がありますので、保護者の方がしっかりサポートできることも重要です。なお、5歳未満の幼児はこの治療を行ったデータがないため、安全性が確立していません。

治療をどのくらい続ける必要がありますか?

推奨されているのは3年間以上であり、3~5年続けることで十分な効果を得られるケースが増えていきます。毎日、1錠を舌下服用し、しばらく保持してから飲み込みます。錠剤は唾液で溶けますので、楽に飲み込むことができます。スギ花粉症の舌下免疫療法でも花粉が飛散しないシーズンも服薬を続ける必要があり、服薬を日常生活の中で習慣化できるかどうかがポイントになります

続けられずに途中でやめてしまうとどうなりますか?

1~2年である程度、症状改善の効果が出てくるケースもありますが、止めてしまうと効果があった場合も長持ちせず、元に戻ってしまいます。3~5年続けると効果が長持ちし、多少効果が弱まったら再度舌下免疫療法を行うことで比較的速やかに症状改善につながりやすいとされています。3~5年間、毎日服薬を続けて、毎月受診する必要があり、十分な効果を得られないケースも存在することをしっかり理解した上で舌下免疫療法を受けてください。

費用はどのくらいですか?

3割負担の場合、初診(血液検査込み)7000円程度、月1回の再診1,000円程度、月にかかる舌下薬2,000円程度(院外薬局での調剤費用等が別途必要) かかります。処方される薬によって費用は少し変わることがあります。なお、お子様は無料で舌下免疫療法を受けられます。

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