繰り返す発熱

こどもの発熱について

問診を受けている子ども体温は食事や運動などで1日の間に1℃程度の変動を起こし、日本人の平均的な体温は36.89℃±0.34℃とされています。乳幼児の場合は体温が高く、発熱は37.5℃以上と定義されています。 発熱はわかりやすい目安ですが、体温の高さが疾患の重症度に直接関係ない場合もあります。発熱がある場合も、他の症状やお子様の状態などをしっかり観察して、総合的に判断することが重要です。



発熱の原因

お子様の発熱で多いのは、風邪をはじめとした細菌やウイルスなどによる感染症です。体内に入ってきた病原体と戦うリンパ球という免疫細胞は体温が高くなると活性化するため、感染症の自然治癒に発熱は役立っています。感染症になって体内に外敵が入ってくると炎症物質が視床下部に届き、視床下部の体温中枢が体温を上げるように指令を出して発熱します。お子様の場合、数日で自然に治る感染症でも40℃以上の高熱を出すことがあります。感染症以外では、自己免疫性疾患(川崎病などの膠原病)や薬剤によって発熱することもあります。感染症や自己免疫疾患による発熱は、脳の体温中枢が発熱をコントロールしているため、41℃を超えることはほとんどありません。
注意が必要なのは、熱中症による発熱です。外的な熱によって脳内の体温コントロールが効かなくなり、体温が41℃を超えて上昇し続けることがあって、深刻な脳障害を起こす可能性があります。熱中症で高熱がある場合はすぐに受診してください。

受診が必要な発熱

焦らずに様子をみてもよい場合もありますが、下記のような症状が1つでもある場合は速やかに受診してください。

  • 生後3ヶ月未満で38.0℃以上の発熱がある
  • 顔色が悪い
  • ぐったりして元気がない
  • 苦しそうに呼吸している、呼吸のたびに大きく胸や肩が動く
  • 呼びかけても反応がほとんどない
  • 意識がもうろうとしている
  • 嘔吐した
  • 頭痛がある
  • 激しく泣く
  • 十分な水分をとれていない
  • 食事をとれない、ほとんど食べていない
  • 半日以上尿が出ていない、少量しか出ていない
  • けいれんを起こした

発熱のお子様に元気があり、水分を十分に摂取できる状態でも、3日以上続いている場合は一度受診してください。

水分補給について

熱を出している子どもお子様は体重に対して体表面が広いので水分が放散しやすく、体内に含まれる水分も多いので、脱水を起こしやすい傾向があります。発熱がある場合は、こまめに水分を補給し、十分に補給できているかどうかをしっかり確認することが重要です。
発熱したら授乳中の場合はミルクや母乳、離乳後は経口補水液のようなイオン水・麦茶・湯冷ましなどをこまめに与えてください。
脱水の可能性がある場合は経口補水液のようなイオン水が最も適していますが、味が気に入らなくて飲んでくれない場合は、水や白湯でも大丈夫です。
糖質や塩分はゼリーやプリン、スープなどでとるのも有効です。
なお、嘔吐や下痢を伴っている場合、脱水はかなりのスピードで進んでしまいます。
機嫌が悪く、水分摂取が進まない場合もあると思います。少しでも心配があるようでしたら、早めに受診してください。

母乳やミルクの与え方

授乳中ミルクや母乳を普段通りにあげてください。ミルクを希釈するのは意味がありませんので、ミルクは普通に与え、水分不足が疑われる場合には別に経口補水液のようなイオン水を与えるようにしてください。





温度管理

寝ている子ども発熱初期にはふるえが起こることもあります。手足が冷たい場合は保温することが重要なので、温かくしてあげましょう。顔や手足が赤くなってきたら、熱がこもらないよう布団や衣類を調整してください。汗が出たら拭いて新しい下着やパジャマに着替えさせます。汗が出てきた時点で脚の付け根(鼠径部)やわきの下をアイスバッグや氷嚢などで冷やすと熱を下げるのに役立ちますが、お子様が冷たいのをいやがる場合は無理に冷やす必要はありません。

解熱剤について

感染症などによる発熱は自然治癒につながる免疫反応ですので、元気があって水分をしっかり取れている場合は解熱する必要はありません。ただし、熱で筋肉の痛みやだるさがあるなど、つらい症状がある場合には解熱剤を使って楽にすることが重要です。特に咳などで呼吸が苦しそうな場合には、高熱があって酸素消費量が高いとよりつらく感じますので、早めに解熱する必要があります。
小児科では解熱剤として主にアセトアミノフェンを処方しています。内服後30分で効果が現れはじめ、4時間程度解熱効果が続きますので、こまめな水分摂取を行ってください。解熱後はゆっくり睡眠をとり体力を回復させることが大切です。

発熱している際の食事

泣いている子ども発熱していると味覚も鈍くなり、ほとんど食事をとってくれないことがよくあります。
発熱時には消化機能も低下しているため、無理に食べさせても負担が大きくなるだけですので、水分を十分に摂取できていればひとまずは安心です。また、食べられる場合も、油ものなど消化器に負担がかかるものは与えないようにしてください。 ただし、乳幼児は糖分(グリコーゲン)を蓄える機能が未熟であり、食事による栄養摂取が滞ると低血糖を起こすリスクがあります。やわらかく煮込んだ具だくさんのスープや味噌汁は適度な塩分摂取もできるため、発熱のある乳幼児の栄養補給に適しています。無理に食べさせず、少しずつ与えるようにしてください。また体調が悪いと、これまで特に症状を起こしていなかった食べ物にアレルギーを起こすことがあります。食物アレルギーがある場合には、注意が必要です。

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